2013年5月21日火曜日

生後19日目 ダウン症出生前診断と人工妊娠中絶

3年に渡る不妊治療の末やっと息子を授かり、妊娠初期の悪阻の苦しみはあっても誕生を楽しみにしていた頃、ちょうど新しいダウン症の出生前診断法(NIPT)が今後国内でも実施可能になる、というニュースが流れた。

私達も高齢出産においてダウン症のリスクが高いことは知っていたので、どうしても気になるニュースだった。NIPTを使わない場合は羊水検査を行うことで確定診断ができるが、羊水検査には1/200~1/300の確率で流産の恐れがあり(実際、妻は産科外来看護師時代にそういう例を目にしている)、稀にではあるが母体にDIC(播種性血管内凝固症候群)を引き起こすこともある。NIPTならば確定診断はできないものの、高確率の診断が可能で、それが妊婦からの採血だけで済むためリスクがほとんどゼロとなる。

そんなニュースを見て妻と話した結果、羊水検査は行わないことにした(NIPTはまだ可能な時期ではなかった)。理由は2つ。羊水検査はリスクが比較的高い割に診断できるのは21トリソミーほか数種類の先天異常だけであること。もう一つは仮にダウン症であったとしても人口妊娠中絶などするつもりがないことだった。

その後、エコーによるスクリーニングで医師よりダウン症の恐れはほとんど無いと伝えられた。

もし2013年4月以後のNIPTが選択できる状況だったら、私達はどうしていただろうか。

19周5日でエコーにより口唇口蓋裂 を発見して頂き、準備がしっかりできた体験をした今の心境からすると、NIPTをお願いしてもいいのかなと思う。NIPTが陽性ならば羊水検査で確定診断になるが、そこで陽性と確定しても人工妊娠中絶は選択していなかっただろう。私は別にカトリック教徒ではないが、着床して心拍まで確認できた子は、すでに人格があるような気がするのだ。これは私達の考えであって、夫婦それぞれに色々な考え方があるだろう。

今日、こんなニュースがあった。

胎児にダウン症を「異常なし」出生前診断、逆に伝える 両親提訴 - MSN産経ニュース

羊水検査を行なってダウン症と確定したのに、陰性だと伝えてしまったらしい。生まれた子はダウン症の合併症で3ヶ月半ほどで亡くなったとのこと。

診断結果を逆に伝えたクリニック側のミスは責められるべきだろう。診断結果を読むスキルが無いことを晒してしまったわけだ。これに対して両親が慰謝料を求めているのは、「妊娠を継続するか、人工妊娠中絶をするか選択の機会を奪われた」 という点。少なくともこの両親は、ダウン症と診断されれば人工妊娠中絶を行う可能性があったわけだ。出生前診断でダウン症と診断され、人工妊娠中絶を選択する親は多いし、そのことを私が責められるものでもない。だが私は、ダウン症の子供は絶対に幸せになれないと、親が決めつけてしまうこともできないと思う。 以下のサイトをはじめ、様々な意見を聞いて判断してほしい。

公益財団法人 日本ダウン症協会|ダウン症を授かったご家族へ



それから、ダウン症の画期的な治療薬開発の可能性も出てきている。

ダウン症が“治せる病気”に? 発症メカニズムを解明 | あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

遺伝子そのものを治すことはできなくても、低下しているSNX27遺伝子の発現を高めることはできる。動物実験では神経の働きをほぼ正常どおりに戻すことに成功しているそうだ。もちろん人間への適用は先の話ではあるが、希望は少なくないのだ。

・・・


 昨晩のミルクはお姉ちゃんが頑張ってくれた。今は育児が物珍しい感じだろうか。受験生なので、気分転換くらいのつもりでやってくれればいいと思う。

4 件のコメント:

  1. 口唇口蓋裂の子供なら問題ありません。将来兄弟(お姉さん)を不幸にする心配もありません。しかし、ダウン症は違います。もしダウン症が生まれてしまうと、他の兄弟たちの一生が台無しになってしまうのです。すでにお子様をお持ちのご夫婦であれば、その、すでにいるお子様の将来を壊さないためにも、(口唇口蓋裂なら産んでもいいですが)ダウン症は産んではいけないのです。ダウン症は家族(特に御兄弟)の将来をぶち壊してしまうのです。詳しいことは、たとえばこのサイトに詳しく書いてあります。
    http://www.undeii.com/

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    1. リンク先のサイトも少し拝見しました。その上で、なぜそのように物事を単純化して病名だけを見てマルかバツかで判断しようとするのか、それが人の命のことであるのに。悲しい思いになりました。

      私はトリソミーの胎児の中絶が良いとも悪いとも言えません。一律に決められないから、それぞれのお母さん・・・御夫婦に判断が任せられているのです。

      障害児の妊娠、出産、育児は、本当に人それぞれです。例えば同じ口唇口蓋裂(唇顎・口蓋裂)という一つの病名であってもケアの大変さ、構音障害の程度、言語の発達、本人や兄弟の精神的な影響は、障害の程度や家庭・地域の環境によって大きく異なります。そしてその子の結婚や出産まで考えると、口唇口蓋裂なら産んでも大丈夫よ、なんて簡単に言ってほしくはないというのが正直なところです。

      ダウン症の子を産むか産まないか、ということを病名だけで杓子定規に決めることはできないのです。中絶すると決めた方も、産むと決めた方も、それが御夫婦が悩み苦しんで出した結論なら、尊重しなければなりません。

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  2. 仰ることはわかりますが、実際問題として口唇口蓋裂の子供が生まれたことが原因で離婚や心中した家族はほとんどないでしょう。
    口唇口蓋裂の子供が生まれたからといって兄弟が結婚に苦労することもほとんどないでしょう。
    しかし、ダウン症は離婚や自殺や心中に結び付くことが多く、兄弟が結婚で苦労することになる可能性がものすごく高くなるのですよ。
    ほんの一例ですが、以下のような事件もあります。これは、ほんのごく一例にすぎません。

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    重いダウン症の長男(当時27)の将来を悲観した妻(同53)に頼まれ、2人を殺害した夫(57)に対する判決が4日、
    さいたま地裁であった。
    死刑を求めた夫に裁判所が出した答えは、懲役7年(求刑同10年)。
    若園敦雄裁判長は「長男がダウン症を持って生まれてきたことには必ず意味がある。あなたが生き残ったことにも意味がある」と諭した。

    長男正大さんに対する殺人と、妻きみ衣さんに対する承諾殺人の罪に問われたのは、埼玉県川越市の福島忠被告。
    福島被告は公判で「体調が悪化して長男を介護できないと自分を責める妻に『3人で死のう』と言われ、決意した」と語った。

    検察側の冒頭陳述や福島被告によると、長男の症状は重く、知能は2、3歳程度。
    生後間もなく医師に「20年ほどしか生きられないのでは」と言われたといい、夫婦は「子どもに罪はない。20年を大切にしてあげよう」と誓った。

    食事やトイレなども付ききりで妻が世話したが、介護は過酷だった。
    自分の便を口に運ぶ長男を抱きしめ、泣いたこともある。成人すると長男は暴れたり、妻の髪の毛を抜いたりもした。

    妻が頭痛やぜんそくなどの体調不良を訴えたのは約2年前。
    40年勤めた会社を定年退職した福島被告も介護を手伝った。
    だが妻の体調はますます悪化し、「3人で逝こう」と心中を望むようになった。

    08年8月、妻は果物ナイフを手に「私と長男を刺して」と懇願。
    9月9日夜には「遺書を書いた」と福島被告に伝えた。その言葉に、説得を続けていた被告の心も折れた。
    翌10日午前1時ごろ、福島被告は就寝中の妻と長男の首などを果物ナイフで刺した。
    自らも風呂場で手首を20カ所以上傷つけたが、死にきれずに110番通報した。

    「なぜ自分だけ残ってしまったのか。死刑にして欲しい」。
    そう公判で訴えた福島被告は判決後、「残された人生を有意義に生きて欲しい」と裁判長に言われ、
    「はい」と一礼して法廷を去った。(津阪直樹)

    朝日新聞 2009年2月5日1時36分
    http://www.asahi.com/national/update/0204/TKY200902040312.html
    http://www.asahi.com/national/update/0204/TKY200902040312_01.html

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    1. どうやら全く平行線のようで。。。
      障害の有無にかかわらず、その人の属性の1つを以って、重大な事柄をマル・バツで単純に決めつけるのはダメだと言っているのです。

      子供の障害に端を発した悲惨な事件は数多くあるでしょう。しかしそれはダウン症に限ったことでもないでしょう。例えば皮膚疾患が原因で父が息子を殺したという事件もありました。「そんなことで?」と、他人なら思うような理由でも人は悩み、時に自殺や殺人といった行動を起こすことは、ニュースを見ていれば嫌でもわかります。子供の障害が原因の事件の、何百倍、何千倍の健常者が起こした悲惨な事件を、皆知っているはずです。

      私はダウン症児の育児が大変なことではないと言っているのではありません。むしろ逆です。ただ、産むにしろ産まないにしろ、しっかりと向き合わずに結論を出してはいけない、ということが言いたいのです。

      また、「口唇口蓋裂なら~」の決めつけも非常に不快です。

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