2014年6月5日木曜日

生後399日目 「輝いた6日間のいのち」

第32回「『心に残る医療』体験記コンクール」の日本医師会賞を受賞した、29歳の五十嵐桃子さんの書かれた、「輝いた6日間のいのち」を読んだ。

出生前診断で18トリソミーと診断され、1828gで生まれた”心遥(こはる)”ちゃんの誕生日は平成25年5月21日。予定日より10日遅かったということだから、予定日としては息子とほとんど同じ日だったことになる。

松永正訓医師が書かれた、「運命の子 トリソミー」にも、18トリソミーの子が「短命」であることが書かれていた。致死的遺伝子異常として、多くの場合は積極的治療が行われない。生まれたお子さんの状態、両親の意向、医師の判断など、様々な要因によって、18トリソミーの子の治療方針は決定される。

心遥ちゃんの場合、積極的な治療ではなく、親子3人が短くとも濃密で幸せな時間を過ごすことを最重点にすることが決定された。御両親、医療関係者の方々の間でも葛藤があったことだろう。

方針はそう決まっていても、心遥ちゃんの容体が急変した時、お母さんの心は揺れ動いた。「なんとか助けて」と医師に泣いて懇願したことも無理からぬことだ。医師は本人にとって辛い治療をしてずっと眠らせておくのではなく、少しでも長く家族が幸せな時間を持つ方法を提案し、家族とともに実行していく。そして・・・
「家族3人で初めて川の字で眠った日の朝、私たちの間で気持ち良さそうにすやすやと眠っていた心遥は、安らかに天使になりました。6日間の生涯でした。」

私がこの体験記を読んで涙を禁じえず、心遥ちゃんと同時期に生を受けた息子が1歳を無事に迎えられたことをあらためて感謝したように、多くの方に同じような気持ちを与える文章ではないだろうか。

出生前診断でトリソミーと診断され、妊娠を継続するかどうか悩んでおられる御夫婦もあると思う。私にも、他の誰にもその答えはなく・・・、それぞれの御夫婦が向き合って結論を出さなければならない。出産を選択された方、されなかった方のお話をなるべく多く聞いたり読んだりすることで御夫婦にとって最善の選択をして頂きたい。

・・・

最近の息子は「父ちゃんとにらめっこ」が大好きだ。目が合うとすぐ笑って、後ろにいる妻に抱きつきに行く。寝る前にこれを20セットくらい繰り返すので、親はヘトヘトである。


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3 件のコメント:

  1. リラクマコ2014/06/06 0:50:00

    はじめまして。時々、読ませてもらってます。5歳になる、口唇口蓋裂の息子の母です。クラッパさん父親のほうがこんなに子どもの障害を勉強なさって、素晴らしいです。うちは、父親のほうは最初協力的ではなく、困りました。さんざん、言って頑張って休みとらし、病院についてこさせたら、今はやっと自覚持ってくれました。
    ですが、協力的でない、お父さんはたくさんいます。うちが、通ってる大学病院もたくさん口唇口蓋裂の患者さんがきてます。専門外来なので、全国から。でも、お母さんばかりが多いです。このブログを読んでいただいて、理解あるお父さんが増えればいいですね。

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    1. リラクマコさん、コメントありがとうございます(^^)
      確かに、こちらの大学病院受診でも、お会いする方の9割はお母さんですね。入退院の時はさすがにお父さんが来ておられるようですが、普段はやはりお忙しいのでしょう。私は有給が取りやすい会社にいるので、その点恵まれているかもしれません。
      おっしゃるように、最初は無理矢理にでもお父さんを病院受診に同行させるのが良いと思います。どうしても、実際に受診の様子を見ないと当事者意識が芽生えにくいので・・・男性は特に。

      私も外来でパパ友が作れるくらい増えればいいなと思っています。

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  2. 先ほどCMを見て涙が止まりません
    俺みたいなクズ人間の命と変わってやれるものならと思いました

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