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2013年5月29日水曜日

生後27日目 父親または夫として

口唇口蓋裂の3箇月の娘さんを持つお父様に当ブログへのコメントを頂いた。3箇月といえば口唇裂の縫合手術の時期。何かとご苦労も多いと思う。

私の息子はまだ生後1箇月にもなっていない。大変なのはこれからなのだろうが、今までのところ、なぜかそれほど「しんどい」とか「辛い」とか感じないし、どちらかと言えば毎日起こることや息子の変化を楽しんでいる。妻も同様で、私が仕事中で居なくて息子が長時間泣きやまない時は困っているが、基本的には笑って過ごしている。

エコー検査で胎児が口唇口蓋裂と診断されたときには、さすがに息子が可哀想になったが、その他の異常が発見されなかったことの安心感のほうが大きかった。出産を経て、脳や心臓その他の臓器が全く正常に機能していることが嬉しかった。稽留流産(子宮内での胎児死亡)から始まる3年間の不妊治療や妻の悪阻を乗り越えて、生まれてきてくれたことだけで奇跡だと感じている。その上、脳も心臓も正常で手足も揃っている。ちょっと口に怪我しているだけだ。これ以上何を望むのか。

口唇口蓋裂を発見していただいてからは、出産後の忙しさを想定して定時帰りできるように仕事をする習慣をつけるようにした。私の仕事はシステムエンジニアで、少し前までは早朝から深夜、休日まで働いていて、定時帰りなど別世界の話だった。しかしそれでは疲れきってしまうし、妻の肉体的・精神的負担が大きすぎる。だから私がやらなくていい仕事はとことんやらないし、今日やらなくていい仕事は、可能な限り後回しにする(前倒しでやっても大概手戻りが発生する)。作業自動化など仕事の効率化も全て定時帰りのためだ。

出産後は会社に事情を説明して、恒常的に残業するような仕事を回さないようにお願いしている。そもそも、案件が発生したら8割くらいは私が工数見積をしているので、ヤバイ仕事は最初から取らないのだが。

定時退社したら最速で家に帰る。だいたい19時前には帰れてしまう。なるべく早く帰って妻を手伝い、彼女の話を聞く時間を作るのが重要だと思う(そこからブログネタを拾う、というのもある)。私は仕事で社会と関わっているが、彼女はほぼ自宅に居る。私と話をしていなければ、孤立感が増していくだろう。

お決まりだが、息子をお風呂に入れるのは私の役割だ。それから、テープの貼替えやホッツ床の脱着・洗浄も私がメインでやっている。私が家にいる時は授乳も出来るだけやる。時々娘も参加してくれる。そんな生活が楽しいと思う。

「そして父になる」という映画がカンヌ映画祭で賞をもらったそうだ。父親は子育てを通して本当の父親になり、我が子に育ててもらうのだ・・・そんなメッセージが込められているという。ならば私は、息子の口唇口蓋裂によって、より深く父親として育ててもらっているのだろう。


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19時の授乳は私が行なって、ほぼ100cc飲んでくれた。写真ではわかりづらいが、鼻ステントが押し上げている部分がやや赤くなっている。これについては説明を受けていた。本人が嫌がっていないので大丈夫だろう。

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風呂に入れた後で、ホッツ床を洗浄し、テープを全交換。その後22時の授乳も100cc全て飲んでくれた。最近体重を計れていないが、かなり重くなっているような気がする。

2013年5月28日火曜日

生後26日目 矯正歯科受診3回目/ここまでの経過

【妊娠19週5日】

エコーにて口唇口蓋裂と診断される。その他の異常所見(心疾患、後頭浮腫)なし。

【妊娠後期】

WEBサイト、書籍などで情報収集。身内や親しい友人へ胎児が口唇口蓋裂であることを伝える。

【予定日10日前】

助産師健診にて胎児心拍低下の所見。翌日入院して陣痛促進剤使用を決定。

【予定日9日前】

入院。陣痛促進剤投与するも、子宮口が開かず。夜間は投与中断。

【予定日8日前】

早朝より陣痛促進剤投与。午後、人工破水するも、出産に至らず。

【予定日7日前:誕生】

午前3時より陣痛促進剤投与、入院より54時間後の午後1時42分に出生。体重3250gの男児。アプガースコア9。



【生後2日目】

直接授乳を試すも、その時点では授乳できず。口唇口蓋裂用哺乳瓶により 授乳。



【生後4日目】

口腔内の潰瘍のため、チューブ授乳に切り替え。



【 生後5日目】

新生児黄疸。光線治療。



【生後13日目】

退院。その足で医大附属病院を受診。チューブから口唇口蓋裂用哺乳瓶に切り替え。



【生後14日目】

矯正歯科受診。ホッツ床型取り。テープによる矯正開始。



【生後21日目】

矯正歯科受診2回目。ホッツ床装着開始。



【生後26日目】

矯正歯科受診3回目。←今ココ。



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ということで、今日は矯正歯科受診3回目。午前半休を頂いて、妻と一緒に連れて行く。



2013年5月24日金曜日

生後22日目 眠らない/風疹予防接種

昨日の夕方自宅でホッツ床を付けてから、16時と19時のミルクは吐き出すこともなく授乳することができた。授乳後スヤスヤと寝ていたのでひと安心・・・と思ったら、22時のミルクから寝てくれない!1時のミルクで満足して眠ったと思ったのも10分ほど。以後細切れに寝ては泣くを繰り返し、やっと4時のミルクの後にまとめて眠ってくれた。

今までもたまにこういうことはあったのだが、ここまで激しいのにはホッツ床の装着が関係していると考えるのが妥当だろう。違和感がなくなるまで少しの辛抱。

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私は昨年、義弟の奥さんが妊娠した時に、万が一にも風疹に罹って感染させてはいけないと思い、風疹の予防接種を行った。その後妻の不妊治療が成功したので、風疹に関しては少なくとも自分が感染させてしまうという心配はしていなかった。

妻は以前予防接種を受けていたので今回は特に対策をしなかったが、出産後の血液検査では抗体価が低くなっているということで、改めて予防接種を行った。出産直後ならば妊娠の可能性はゼロだから、この時点での抗体価チェックと予防接種は良いタイミングだ。

風疹の予防接種と妊婦に関しては、このようなニュースがあった。

風疹予防接種後に妊娠判明しても「中絶の考慮は不要」 | あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

妊娠中の風疹予防接種では先天性風疹症候群になる可能性が理論的にはあるが、今までの妊婦への誤接種の例3000件で1例も先天性風疹症候群になっていないということから、人工妊娠中絶を考慮する必要はないということである。だからと言って予防接種時に妊娠しているかどうかの確認が不要だと言っているわけではないので念のため。それにしても、誤接種がそれほどあるとは驚きだ。

先天性風疹症候群についてはTV・新聞で大きく取り上げられている。妊娠初期の女性が風疹に感染すると、胎児に先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球・・・といった様々な障害が発生する可能性がある。

そのために妊娠の可能性がある女性(予防接種時に妊娠していないことを確認すること!)とその周囲の人には風疹の予防接種が欠かせない。 昨年から今年にかけての風疹の流行を見ると、まだまだ予防接種が広まっていないと感じる。独身男性であっても、職場や通勤経路で妊娠初期の女性の近くに居ることも多々あるので、ぜひ予防接種を受けてほしい。また、妻のように予防接種をしていても時間の経過とともに抗体価が下がることも多いので、前回の予防接種から年数が経過している場合も予防接種を考慮してもらいたいものだ。


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今朝は初めてホッツ床の洗浄。17時間着けていたら、それなりに汚れが付いていた。ぬるま湯で丁寧に洗って再装着して授乳。



テープは貼り直さなかったので、洗浄から授乳終了までそれほど時間はかからなかった。



2013年5月23日木曜日

生後21日目 矯正歯科受診2回目 ホッツ床装着

一週間前は退院2日目で、授乳もまだ不安が残る状態だった。矯正歯科でホッツ床の型取りとテープによる固定をして、「テープはこのままで、次は一週間後」と言われた時には、潰瘍が心配だったりして、果たして無事にその日が迎えられるのか内心は不安だった。

この一週間、頬のシートを貼りかえたのは1回。テープは1日に1回~2回交換した。今日の午後に2回目の矯正歯科受診をして、状態を見ていただくとともに、作成されたホッツ床の合わせを行う。



受診時間は先週と同じで要領もだいたいわかったので、今回は少し心に余裕を持って受診できそうだ。

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2回目の矯正歯科受診から帰ってきたところだ。帰宅時間に合わせて生保会社の方に来ていただいて、学資保険の契約も行った。

この写真はすでにホッツ床を装着した状態である。画像をクリックして拡大していただくとわかるが、ボタンと呼ばれる突起がでていて、それを左右斜め上から軽く引っ張るようにして落ちるのを防止している。

こちらの写真はもう少し分かりやすいかもしれない。装着時は舌の上に横にして入れるようにし、口の中で90度回転させる。そして上唇を巻き込んでいないかチェックするように指導を受けた。

頬のシートはやや上、目の下辺りに位置を変えられた。テープについては今までの横に渡す1枚を最初に貼り、その上から左右のテープを貼っている。左右のテープの先にはボタンに掛ける小さな輪ゴム(素材は違うのかも)を付ける。この輪ゴムの替えもかなりたくさん頂いた。

ホッツ床についての説明書も頂いた。概要は以下のとおり。

  1. ホッツ床は哺乳の機能を高め、上顎部の発育を促すための装置である。
  2. 初めての装着から2~3日は外れやすい。
  3. 定期的な受診が必要。
  4. 哺乳瓶の乳首は穴の小さなものを使い、吸啜力を高めるようにする。
  5. 清掃は1日1回、歯ブラシで行う。哺乳後は取り外さないこと。
  6. ミルクを戻しそうになったときは、慌てて外そうとせず、まずは横向きやうつ伏せにして吐き出させる。
次回は五日後、鼻の矯正具の装着の予定だ。

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矯正歯科の待合で、隣の隣の県から来られているご夫婦にお話を伺うことができた。高速だけでも2時間かかるような所から来られていると聞いて、思わず「○○(地方名)にはこういったところは無いのですか・・・」と聞き返してしまった。それが無いのだと伺って、つくづく私たちは恵まれていると思うと同時に、せめて県に1つは口唇口蓋裂のチーム医療ができる拠点が必要なのではないかと感じた。

そのご夫婦と9ヶ月のお子さんが来院されたのは、ホッツ床を踏んで割ってしまったから、とのことだった。緊急のことだから、旦那様がお休みをとるのも大変だったと思う。私達などは急げば30分ほどで通院できる場所に住んでいる。医大附属病院も同じような距離にある。こんなに幸運なことがあるがあるだろうか。きっちりと息子の治療を進めて行かなければならない。

2013年5月16日木曜日

生後14日目 矯正歯科受診

人生で初めて、我が子を挟んで川の字で寝た。目が醒めた時に妻にそう言ってみたら、「うん。ほんとに夢のようだわ」と返ってきた。妻は前回の出産時には前夫との離婚が決まっていたので、彼女にとっても初めてだ。ベッドは普通のダブルサイズなのであまり広いとは言えないけれど、何とか眠れるものだ。やはり息子の様子が気になって、細切れの睡眠になってしまった。



今日の予定は、午後2時に矯正歯科の受診だ。また午後半休を取る必要がある。 昨日早朝にリリースした更新モジュール(とあるWEB営業支援システムの本体プログラムとバッチプログラムの改訂)の動作も気になるので、昨日ほどではないが少し早めに出勤して確認しておこう。

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12時半に妻が息子を連れて会社まで来てくれたので、そこから5kmほど先の矯正歯科に連れて行った。今回実施したのはホッツ床の型取りと、テーピングと言ったらいいのか、写真を見ていただきたい。






鼻の下の部分を押し下げ、上顎を左右から寄せるために、このようにテープを用いるのだそうだ。早い時期にこうすることで、赤ちゃんの顎の形を正しい形に導いていく。


これに先立ってホッツ床の型取りを行ったのだが、合成樹脂と思われる材料を口の中に入れて上に押し当てること2分間。どのような感覚なのか知る由もないが・・・痛いのか吐きそうなのか、当然大泣きする。最初は私のすぐ横で見ていた妻は、そのうち自分の顔を手で覆って私の後ろに隠れてしまった。「私がちゃんと産んであげてたら・・・みたいに思えちゃって、ちょっと泣いちゃった」と帰りの車内でつぶやいていた。口唇口蓋裂の原因は分かっていないわけだし、妻は妊娠中の激しい悪阻の吐き気の中、サプリメントや点滴までして必死で栄養を取ろうと最善を尽くしていた。口唇口蓋裂の遺伝因子は多くの人が持っていて、その他の外的要因が複雑にからみ合って、ほとんど偶然に発現したに過ぎない。それは妻も知識としてはわかっているのだが、感情がついてこないのだろう。

次の受診は1週間後の同じ時間。順調ならホッツ床の装着になる。





「高校生のお姉ちゃん、おっかなびっくり弟を触る」。まだ抱っこは怖いそうな。

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授乳については、潰瘍の状態を確認しながらピジョンP型で行なっている。細長いタイプの乳首はミルクが出すぎて、まだうまく飲ませることができていない。潰瘍が悪化した場合のこともあるので、また練習しておかなくては。