2013年6月12日水曜日

生後41日目 形成外科受診日

今日は2回目の形成外科受診日だ。実際には形成外科・耳鼻科・リハビリ科を大学附属病院内でぐるぐる回る、1日がかりの受診になる。

息子の体重は4.7kgになり、このペースでいけばあと1ヶ月強で最初の目標である口唇裂の手術が可能な6kgに到達しそうだ。もちろん手術の条件は体重ばかりではなく、矯正歯科での今までの治療成果にもよるだろう。今日の受診で手術の日程がある程度はっきりすれば良いかな~という程度に考えている。



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今日の受診では、形成外科→言語聴覚療法→リハビリ→耳鼻科と回ったが、前回よりは短時間で済ませることができた。

形成外科では、おおよその口唇裂手術の時期が8月中旬~下旬、もしかしたら9月初旬ということになった。これでいくつか予防接種ができる(手術前1ヶ月までに受けるのが条件)。息子は両側の口唇裂だが、一回の手術で左右とも縫合する。手術時間は正味3時間くらい、とのこと。

言語聴覚療法では、言語聴覚士の方からの、口唇裂手術に備えて抑制筒や細口乳首での授乳についての指導。

リハビリでは現状の確認で、体重を4.7kgと伝えたら「・・・出生時から1.5kg? 1箇月ですよね?」とちょっと驚かれた(実際は1箇月と9日)。体幹・四肢の状態に問題がないこと、泣き声も大きな声で高音が良く出ていて、くぐもった感じがないことを褒めてもらえた。もう少しで首が座りそう、とも言われた。

耳鼻科は鼓膜の状態の確認のみ、約2分で終了。

ちなみに子ども医療の補助のおかげで会計は0円だった。売店で口蓋裂用の乳首を2個買い足して病院を出た。

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帰り道に手芸店に寄って、やっとこさ抑制筒の材料を購入した。妻はあまり裁縫が得意ではないので延び延びになっていたのだが、そろそろ年貢の納め時のようだ。ボタン付け以外は全くできない私よりはマシだと思うが。。。



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2013年6月10日月曜日

生後39日目 子供に障害があったから気付かされたこと

5時半に起きると、妻は起きて朝食とお弁当の準備をしていた。お茶の準備をしながら「夜中は大変だった?」と聞いたら、「ん~、5回くらい起きたかなぁ。でも、可愛いんだなぁ」という答だった。


私が起きてきて15分くらいでフニャフニャ言い始めた。ミルクを与えてオムツを替えたら機嫌が良くなったのでこの記事を書いている。

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昨晩は早めに就寝したので、その後に頂いたコメントを拝見したのは先程だったのだが、こちらもありがたいお言葉だった。

きっとこの疾患を持って生まれてきてくれなかったら、私は何も知らずに生きてきたでしょう。
この子のおかげで、色々気付いたことがあるような気がして、感謝感謝の毎日です。
もちろん、生まれてくる子が健康で何の問題もないことを祈らない親はいない。しかし、障害を持つ赤ちゃんはある割合で生まれてくる。口唇口蓋裂なら、日本では500分の1の確率だ。

障害を持った子が生まれれば、両親は「この子が元気に育つように」と、あらゆる努力を惜しまずに子育てや治療に骨身を削る。傍から見れば「かわいそう、大変ねぇ」ということになるのだろう。だが、コメントにもあるように、障害を持った子供の育児は、育てる親にたくさんのことを与えてくれる。

たとえばこのブログである。口唇口蓋裂のお子さんを出産される方の参考になればと始めたこと自体、息子に何の障害もなければ考えもしなかったことだ。ブログを始めた結果、少しずつ経験者の方からのコメントを頂くようになり、ほんの少しだろうが、これから口唇口蓋裂のお子さんを育てる方の力にもなれているのではないかと感じる。誰かの心の支えになることほど、人生を充実させることが他にあるだろうか。

今日は、障害を持って生まれた息子の育児を通して気づけたことを徒然に記してみようと思う。

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子供の症状や周囲の環境によって程度の差は大きいが、障害を持って生まれた子の育児には、より多くの時間と労力がかかる。それは母親だけ、父親だけでこなすには困難なことだ(シングルマザー、シングルファーザーの方で立派に障害児の育児をされている方はおられる)。 自然と夫婦で話し合い、協力しあうようになる。より密にコミュニケーションをとらなければならないから、子供を通してお互いをさらに理解できるようになっていく。例えば育児における得手不得手。

妻は私よりも息子の変化に敏感だ。ミルクの飲み方、便の状態、体温、湿疹の数や場所・・・。それを時系列でほぼ記憶しているし、少しでも普段と違えば対処するか私に相談してくる。だが、ホッツ床の脱着やテープ貼りに関しては苦手だ。だからこれは私の役目である。

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同じ障害のお子さんを持つ親御さんと面識が持てたことも、私達にとってかけがえのないことだ。医大附属病院や矯正歯科の待合で、話しかけたり話しかけられたりしてきた。今まで全く接点のなかった方と気持ちを共有し、お互いを励まし合う。お互いに「頑張りましょう」と言い合って別れたあとはとても清々しい気持ちになる。

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子供を授かり、育てていくことができるということが、どんなに奇跡的で素晴らしいことなのかということを気づかせてくれたのは息子である。稽留流産から始まる不妊治療の度重なる失敗から、奇跡的な着床・妊娠を経て、口唇口蓋裂はあるものの、元気に誕生してきてくれた。「普通にミルクが飲める」ということがどれ程すごいことで有難いことなのかも教えてくれた。

今までは一人っ子でちょっとワガママだったお姉ちゃん(18歳!)も、受験勉強の合間に授乳やテープ貼りを手伝ってくれるようになったし、妻と母親(私から見て義母)のギクシャク感も少し和らいできたように感じるのだ。

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誕生石と名前を入れたベビーリングを受け取りに行った宝石店で、担当の方が、「何だか、赤ちゃんが生まれたことで、全部がうまく巡ってますよね!」と言ってくれた。本当にそう思う。



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2013年6月7日金曜日

生後36日目 胎児が口唇口蓋裂と診断された時、妊婦の気持ち

昨晩、妻にあらためて聞いてみたのは、エコーで息子の口唇口蓋裂が分かった時の気持ちについて。

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「そりゃあショックだったわ。私はあなたが付いててくれたからまだ良かったけど、一人で聞いてたら泣いてたかも」

「悪阻が酷かったから付き添ってたけど、それがなかったら一人で聞いてたかもしれないね」

「それで、やっぱり聞きたいのは『どうして?』ってこと。私は看護師だからまだ知識あるほうだと思うけど、それでもね・・・。一般の妊婦さんだったらすごく気に病むと思う」

「(口唇口蓋裂の)原因は不明なんだけどね」

「うん・・・。『悪阻で栄養がとれなかったから?』とか先生に聞いちゃったもんね」

「先生は『関係ない。確率の問題』って即答だったね」

「それを聞いて少しは気が楽になったけど、それでも『申し訳ない』とか思っちゃうの」

「謝ることは何もないんだけどね」

「でもね、エコーでどんどん大きくなるこの子のお顔を見てたら、すごく可愛いと思えてきたの。今はもっと可愛いけど」

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妻が言うように、いくら原因不明で確率の問題だと説明されても、妊婦さんは、何か自分が悪かったのではないかと自分を責めてしまうものだ。それはある意味自然な反応と言えるかもしれない。その後・・・少し落ち着いたら、旦那様と一緒にしっかり心身の準備をしていただきたい。口唇口蓋裂は、長期間かかるものの、必ず治る病気だから。

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今日は午後から矯正歯科の受診だ。私の仕事の方は最近スムーズだから、午後半休を取っても特に問題はない。有給休暇の残日数は気になるが。

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矯正歯科では、左の鼻の穴に入れる鼻ステントが調整された。

 
確かに左右のバランスが整えられたような気がする。

それから、左右のテープをもう少し長くして、耳の前あたりから貼るように指導を受けた。頬のシートから全部やり直すので、これは今晩のお風呂の後にやろうと思う。

偶然、前々回の受診でお話を聞けたご夫妻が息子さんと来ておられ、またお話をすることができた。今回も御主人がお休みを取って、高速で1時間半かけてこられている。息子さんの綺麗になったお口を見ると、とても勇気づけられる。



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2013年6月1日土曜日

生後30日目 時間と気持ちを共有する

翌日が休みなので、妻と息子と一緒に川の字で寝た。口元を触らないようにミトンを被せた息子の手がちょこちょこと私の顔に当たる。面白いのでボクシングのミット打ちみたいにして遊んでたら、午前1時がきてしまった(^^;;;。久しぶりの深夜の調乳・授乳。さすがにその後は午前5時までしっかり寝てくれた。



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昨晩妻と会話した中に、娘の誕生時の話題があった。 妻は私とは再婚であり、娘は前夫との間の子だ。娘は今18歳で、彼女が生まれてすぐに離婚して妻はシングルマザーとなった。妻は離婚を妊娠中から決めていたが、前夫に父親としての自覚だけは持ってもらおうと、出産時には分娩室で立ち会いをしてもらったそうだ。

前夫が分娩室に入ると、産科の先生も意外そうな顔をしたそうだ。離婚の事情と前夫の性格を知る人には、およそ立ち会いをするような人物には見えなかったらしい。

18年前のそのときは初産だし、娘は出生時に3800gもあったので、かなり大変なお産だったようだ。ところがやっと産み終えたとき、前夫がお産の様子を見て言った言葉は小声で「気持ち悪い・・・」だったそうだ。離婚が決まっていたとはいえ、赤ちゃんの誕生、しかも血の繋がった我が子の誕生を目の当たりにして「気持ち悪い」とは・・・?

前夫については、とても未熟な人だったのだろうと妻は振り返る。話を聞けば典型的なマザコン。家は別だったが、前夫の実家から車で数分で、帰宅時にはまず実家の母のところに立ち寄って食事をしてから帰る。その母は息子が結婚してからも前夫にあれこれと世話を焼き、前夫から妻への些細な不満を聞いては妻にネチネチと嫌味を言う、昼ドラ並みのドロドロ状態だったそうだ。

もちろん前夫と私は面識がなく、妻の言うことだけを聞いているので、実際はどれほどだったのかはわからない。今となってはどうでもいいことだが。

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妻が息子を産んでくれた時、それまで彼女が積み上げてきた努力と苦労(稽留流産、不妊治療、重度の悪阻・・・)が思い出され、その妻が産んだ息子が元気に産声をあげた姿を見た時には、不覚にも涙が止まらなかった。今、これを書くためにその時のことを思い出しただけで目頭が熱くなる。

「あなたは○くんが生まれた時、一緒に泣いてくれた」

妻はその記憶が宝物の一つだと言う。

私は、流産、不妊治療、悪阻・・・その他諸々の困難を妻と一緒に乗り越えてきたからこそ、息子の誕生に心から感動できたのだろうと思う。それはこれからの育児にしても同じだ。あくまでも妻に寄り添い、時間と気持ちを共有しながら育てていく。